お知らせ

教区ニュース「カリタス東京通信2024年11月1日11月号」

2024年11月08日

葡萄は房でなるように

NPO法人葡萄の家
副理事長 西手友一

こんにちは。NPO法人葡萄の家です。私達は、障がい者のグループホームを運営しています。

千葉県柏市で一軒の小さなグループホームが我が家です。この共同体では、障がいのある人を仲間と呼び、支援する人をアシスタントと呼び、共に生活する共同体です。

仲間であるコアメンバーが中心になり、彼らの賜物を大切にしながら、対等な関係で友情を深める事を大切にしています。

マタイの福音25章40節で、「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。」この聖書の御言葉の通り、仲間といる時間が、神様と共に居る事と思い日々暮らしています。

今年は、グループホームが出来て15周年になります。普通の住宅に、ひっそりと、ぶどうの家があります。看板なども無く、知らない人は、ここがホームとは気が付きません。

設立当初は、この住宅街にグループホームが出来ると知ったご近所の人が、「困るなぁ」「無理だよ」「他に行ってくれ」との言葉に、悲しく寂しい思いをしたものです。

誰でも歳を取り、人の手を借りなければ、生きていけないのでは、と訴えましたが、当時は理解されませんでした。

毎日、日々素朴な生活、祈りの中で過ごしていれば、いつか必ず、ご近所の人達と分かり合える日が来ると信じていました。

そんな生活を10年くらい続けていた時の事です。いつもの仲間の食卓での笑い声や、朝、元気に「行ってきます」と道路での大きな声を聞いていたご近所の方々が少しずつ声をかけてくれました。

ある朝、重い生ごみを持ってゴミを捨てようとすると「これは重いから私が捨てるから、あなたは他のを持って来なさいよ。沢山あるんだから。」とゴミを捨ててくれました。

ご近所の方が手伝ってくれたのです。

「ありがとうございます。失礼ですが、お名前は?」と尋ねると、「そんなのいいわよ」と言って角を曲がって去っていきました。

それからしばらくして、玄関のチャイムが鳴り、出てみると、町内会の同じ班の方が「何かボランティアで、出来る事がありますか?」と声をかけてくれました。急にホームの中に入り、何かをするのは、抵抗があるけれど他にありますかと言うのを聞いて、以前にゴミ捨てを手伝ってもらい、とても助かった話をすると、それなら私にも出来る仕事ねと言って、毎週、汚れ物の紙パンツや生ごみを捨ててくれる様になり、今も続いています。

その方の話を聞いてみると、子供たちも独立し、夫を亡くされて一人暮らしをしているとの事。何かお手伝いする事があったらと声をかけてくれました。

お互いに必要な時に助け合い、協力しながら生活し暮らしていく事の大切さに気付かされた出来事でした。