カリタス東京ニュース

カリタス東京ニュース2024年2月号

2024年01月22日

インフォメーション

2024年 世界病者の日ミサの開催

2月11日午後2時より世界病者の日ミサがカテドラルで予定されています。主司式はアンドレア・レンボ補佐司教です。

手話通訳と要約筆記があります。ミサはどなたでも参加できます。

Together Weキャンペーン「Together Weミサ」「Together We写真展」の実施

2月11日に予定されている本年度の「世界病者の日ミサ」は国際カリタスのTogether Weキャンペーンの一環として、教区の「Together Weミサ」の意向も合わせ行われます。

当日これに合わせて、Together Weキャンペーンの趣旨に合わせた写真展示が東京カテドラル関口会館のエントランスホールにて開催されます。

Together Weキャンペーンとカリタス東京

Together Weキャンペーンは2021年の12月から2024年12月までをその実施期間とする国際カリタスのグローバルキャンペーンで、「教皇フランシスコの回勅『ラウダートシ』『兄弟の皆さん』などに示された呼びかけに応え、ともに消費主義が招く「無関心」から抜け出し地球や弱い立場に追いやられた人々の叫びに耳を傾けながら、相互配慮をベースとしたケアの共同体(愛の実践共同体)を促進し、ともにケアの文化を構築していきましょう」(we are Caritas25号より抜粋)というものです。

コロナ禍に活動が制限される中でこのキャンペーンは始まりました。国際カリタスの設定したスケジュールでは1年目が「気づき」2年目が「行動」、3年目が「祝い」として位置づけられていましたがなかなか思うようには進んでいきませんでした。

東京教区では、カリタス東京が2022年4月に立ち上げられました。カリタス東京はミッションの最初の一歩として「愛の奉仕のネットワーク化」と「教区の防災対応」を掲げています。この両ミッションとも愛の実践共同体の促進と密接に関係するものであることから、特に「愛の奉仕のネットワーク化」の活動をこのキャンペーンの一環として捉えて行動をしています。 

まず、教区内で愛の奉仕活動をされている団体・グループを見える化し、お互いが交流できる場の設定し、お互いで何ができるかを模索しようとしています。今年は、キャンペーンでは「祝いの年」になりますが、カリタス東京の活動では互いに何ができるかの「行動の年」になるのではないかと考えています。ケアの共同体の促進とともに教区内の愛の奉仕の活動がより実り豊かなものとなると信じています。

Together Weキャンペーンについて詳しくはカリタスジャパンのHPにお進みください。

 

愛の奉仕活動の紹介コーナー

「聖イグナチオ・カレーの会」訪問レポート

今回は東京都新宿区にある麹町教会で行われている「聖イグナチオ・カレーの会」の現場を訪問しました。麹町教会は聖イグナチオ教会という名でも呼ばれて、中央線の四谷駅の目の前という東京教区の中でも最も交通の便のよい場所にある教会の一つです。すぐ隣には上智大学やイエズス会の管区本部、交差点の向かい側には修道会「幼きイエス会」の本部と双葉学園の幼稚園から高校までがあり、朝夕には多くの学生やサラリーマンが頻繁に行き交う光景がみられます。

四ツ谷駅前から見た光景で、右側に麹町教会の聖堂、左側と聖堂奥が上智大学の校舎となります。

 

麹町教会の聖堂、信徒会館と中庭の光景です。

「聖イグナチオ。カレーの会」は麹町教会の横にある岐部ホール前の入り口付近で毎月曜日の朝にカレー弁当と水・パンなどの食品を提供しています。この会は2008年から信徒ホールを使って今週月曜日に、主として路上生活者の方を対象に、カレーの食事やシャワールームの提供、必要に応じて生活相談を行ってきました。しかし、コロナ禍で密を避けるためにカレー弁当の配布へと活動へと切り替えました。コロナ禍でも活動を継続した数少ない団体の一つです。この活動には代表の岩田さんを始めとして麹町教会や他教会の信徒の方々らがかかわっておられます。

師走が押し迫った月曜日の配布日の朝7時に伺わせていただきました。麹町教会前のソフィア通りには、配布30分前にもかかわらず、お弁当の配布を待っている30名くらいの方が既に列を作って並んでいました。

朝7時頃、岐部ホール側入り口を先頭に利用者の方が整然と並んで待っています。

 

配布開始時間までには、列が正門をこえています。

厨房ではスタッフの方が今日準備するお弁当約200個の盛り付けの準備に入っていました。ガス台上の大きい寸胴鍋3個には既にカレーが煮込まれていて、いい匂いが厨房中にあふれていました。ご飯が炊き上がると、盛り付けが開始されます。盛り付けは流れ作業で、ご飯を計量しながら容器に盛り付け、カレーをよそい、福神漬けを添えて蓋をして、スプーンと一緒に袋詰めします。

約200食分のカレーが3つの寸胴鍋に用意されています。

 

ご飯は計量して盛り付けていきます。

 

具が均等に入りよう丁寧にカレーをよそいます。

 

福神漬けを添えます。

 

蓋をして上からテープで止めます。

 

スプーンを添えて袋詰めしていきます。

 

出来上がほやほやのおいしいカレー弁当です。

 

この日、調理をされているスタッフの方々です。

380gのご飯に具沢山のカレーをかけたもので、ずっしりとしたボリュームがあります。個別包装されたお弁当は保温箱に入れられて、岐部ホール前の会場には運ばれます。

こうして、7時半から配布が始まり、待っていた人たちに出来立てのカレー弁当が次々に手渡されていきます。この日はお弁当の他に、バナナ、パン、お水が手渡されていました。カレー弁当は作りたてのものが、厨房からビストンで運ばれてきます。時折スタッフの方が、列に並んでいる人数を数えて、厨房に報告し、厨房では最終的な盛り付け数の予測を立てながら盛り付けをしていきます。ご飯は全部で6釜分を炊いていて、1日のお米の使用料は42Kg~45Kgとなっています。ご飯を炊きながら作業が進んでいるため、途中、ご飯が炊きあがるまで少し時間が空きますが、その様な時間には待っている人とスタッフが会話をしている姿が見られました。利用者の中には、自分でタッパウェアを持参して来られる方がいました。このように、9時半まで継続時に配布して終了します。この日は約220個のカレー弁当が配られました。利用されている方は、荷物を抱えた野宿者の方、お年寄りの方、若い人等々様々な方がおられます。生活保護を受けている方、ネットカフェに寝泊まりしている若い人など様々な人がおられるとのことです。

開始前の配布場所の様子です。バナナとお水がテーブルの上に置かれています。

 

出来立てほやほやのお弁当が厨房から配布場所に運ばれていきます。

 

お弁当を受け取った利用者の方は、荷物に詰めて教会から帰っていきます。

 

代表の岩田さんと木嶋さんにお話を伺いました。
カレーの会を始めるきっかけはなんでしたか。

2008年に他の団体が麹町教会の信徒会館を使って行なっていた活動を、教会の有志が引き継いで始めたのが今のカレーの会の最初です。当時は、信徒会館のホールでホームレスの方を中心としてカレーを食べるというものでした。

その様な経緯もあり、当初スタッフも教会外の人が多かったが、お手伝いをお願いする新受洗者への声掛け、バザー等の行事を通じてのお誘いによって、お手伝いをいただく信徒の数も増えていきました。さらに、教会報「MAGIS」に利用者数の情報等活動内容を継続的に掲載してもらうことで、教会としての活動が認知されるようになりました。

当初、100名ほどの野宿者の方々が直接教会に来られることから、その状況に色々意見をいう方もいましたが、地道に活動の説明を続けることによって理解を得ていていると思います。

利用者の傾向の変化とコロナ後はどうなっていますか。

コロナ前にホールでカレーを提供していた時は、男性の野宿者が圧倒的に多く、コロナ禍でお弁当の配布に切り替えた後は、野宿者の方に加えて生活保護を受けている女性の方や若い方が加わるようになり、支援対象が拡大したと思います。利用者数はコロナ前が通年で6000人前後、コロナ禍から現在では9000から1万人となっており、増加したのは野宿者以外の新しい方であると思われます。

コロナ後、今までの様な野宿者の方中心で一緒に食事をしていたやり方に、この幅広くなった対象の方々も含めつつ、どのように戻していくか悩むところです。

環境問題への対応を考えているとのことですが。

当初は、利用者の方が近くの土手や公園でお弁当を食べて、容器を捨ててしまいクレームとなり、利用者にゴミを捨てないよう周知し、また、ごみ拾いにも回りました。現在では、ごみのクレームは減り、現在では特にごみ拾いには回らずに済んでいます。

さらに、プラスティク容器の量を減らすために、利用される方にはタッパーなどの容器を持参してもらえるよう呼びかけをしていて、現在では1割ほどの方がご自分の容器を持参してくれています。今後とも、出来るだけ環境の為にリユースの呼びかけを続けていくつもりです。また、環境対応型の容器の利用も考えていますが予算との関係で悩んでいます。

 

「一歩の会」訪問レポート

今回は東京都豊島区にある豊島教会で行われている「一歩の会」の現場を訪問しました。豊島教会はJR池袋駅の西口から徒歩圏で、西武池袋線の椎名町、地下鉄要町駅からほど近い山手通り沿いにあり、付近には立教大学が、また、構内には聖堂の隣に聖パトリック幼稚園があります。聖堂は建築家アントニン・レーモンドの設計によるもので、入り口上部には守護聖人「聖パトリック」のステンドグラスが設置されています。

豊島教会の聖堂です。

 

正面が聖堂、左側が信徒会館、右側が聖パトリック幼稚園です。

 

聖堂の入口上部に聖パトリックのステンドグラスが設置されています。

「一歩の会」は毎月最終金曜日に教会の信徒会館の厨房でお弁当を作り、夕方に立教大学と東京都芸術劇場の間にある西池袋公園に持って行ってペットボトルの飲み物や衣類・日用品等と一緒に配布する活動をしています。この会は岡田司教が東京教区の大司教に任命された2000年から始まり、すでに20年以上この活動を行っていて、教区の中でも最も長く続いているグループの一つです。

この活動には豊島教会の信徒の方々や聖公会の教会の方々やその友人や立教大学の学生さんや高校生の方々が和気藹々と参加されています。

私が訪問したのは大晦日が3日後に迫った12月の最終金曜日でした。午後3時過ぎにお伺いすると、厨房ではすでにご婦人方による野菜や肉の材料カットが始まっていました。お弁当のメニューは定番の肉野菜炒め弁当、沢庵付きです。

肉野菜炒めの具材のカッティングが手際よく進んでいます。

 

この日厨房で調理されていたスタッフの方々です。

一方、ご飯炊飯役は、当日の配布予測数を決めて、それに合わせた量のお米を炊きます。この日、池袋駅の反対側の東池袋公園でNPO法人TENOHASHIが越冬対策として6時半からお弁当配布を予定しているのでTENOHASHIの代表に状況の確認し、その上で、通常よりは少ない可能性があるが念の為準備する個数を通常の約150と決めてご飯の仕込みに入ります。業務用ガス炊飯器2台を2回転させて炊いていきます。ご飯が美味しく炊き上がる様に、研ぎ、浸し、水加減、炊き上げ、蒸らしを丁寧に行なっていきます。

並行して、厨房では肉野菜炒めの調理が進んでいき、お弁当の上に載せる具が出来あがっていきます。

次々に炒め作業が進んでいきます。

 

おいしそうなカレー味の肉野菜炒めができました。

この間、ホールではその日に配るために寄付されたパンの個別袋詰めと衣類の仕分け作業が進んでいきます。衣類の包装やタグ類等ゴミとなる可能性のあるものは全てあらかじめ外しておきます。

寄付された本当においしいパンが個別包装されていきます。

 

本日配布予定の衣類や日用品の詰まったバックです。

別のテーブルでは、お弁当容器へ詰める前準備として机の上に容器が並べられます。第一弾のご飯が炊けると、お弁当詰めが開始されます。

まず、ご飯を盛りつけ、その上に肉野菜炒めをのせて、ならしてから沢庵を横に添えて、輪ゴムで割り箸を挟んでレジ袋で個別包装にします。出来上がったお弁当76個は運搬用のスーツケースに詰め込まれていきます。第一弾出の包装が終わると、次のご飯の炊きあがりまで一息、次のご飯が炊き上がると第二弾の盛り付けをしていきます。

ご飯の盛り付け作業を学生さんたちが手際よくやっています。

 

ご飯の上に肉野菜炒めをのせていきます。

 

お弁当が出来上がっていきます。

 

作りたてほやほやの肉野菜炒め弁当です。

 

個別包装されたお弁当はキャリングケースに詰められていきます。

お弁当と衣類等の準備が終わると、配布品と机等の備品荷物を車2台に積み込みます。そして、全員が食卓につき、お祈りをしてから賄いの食事を食べたのち、現地での配布の役割分担を決めます。6時半過ぎに、後片付けのための留守番を数名残して他の人は車に分乗して配布のために公園に向かいます。当日は人数が多くて全員は車に分乗できなかったので、若者は歩いて現場に向かいました。

この車、信じられないくらい沢山荷物が積めます。

 

賄いのパエリヤと食事の前のお祈りです。

 

6時頃、公園に出発前にみんなでお祈りをして、賄いをいただきます。

7時前に公園に着くと、現地には別のボランティアの方がいて、既に100人以上の利用者の方が整然と列を作って待っていました。車で到着したボランティアは食料の配布と衣類の配布の各役割に分かれて手際よく準備をしていきます。配布には毎回フランス人の信徒方と友達が別途参加しています。7時の配布開始直前の並んでいる方の人数確認をした結果、予想通り人数が120名程度と用意した食料よりも少なかったので、2度並び直しが可能なことを前頭の方の人にあらかじめ告げます。7時になるとお弁当の配布が開始され、2つ希望する方は急いで列の最後尾に並び直します。最後尾には標識を持ったボランティアが付いていて、一巡目の人が1つ受け取ったことを確認して、2つ目のお弁当、パン、おにぎりの配布をしていきます。食料を受け取った後に、衣類を1点選んでもらいます。多くの方が再度並んで食料を受け取っていました。池袋という繁華街に近いこともあって利用者として若い人や女性、外国の方も比較的多く並んでいます。7時20には配布が完了し、公園を掃除してから教会に戻り後片付けをして活動が終了しました。

到着すると、既に100人以上の方の列ができています。

 

公園の内側に沿って列が公園内に伸びています。

 

衣類や日用品はブルーシートの上に種類ごとに広げられていきます。

 

お弁当の配布が始まるとどんどん列が進みます。

 

お弁当を受け取った方は、衣類を選んでいきます。

 

利用者の方が使っていた、雑誌や空き缶などを残さないよう丁寧に公園を掃除します。

 

代表の矢崎さんにお話を伺いました。
一歩の会を始めるきっかけはなんでしたか。

この一歩の会を始めたのは豊島教会の信徒で外山たかねさんです。それで、外山さんに一歩の会の始まりについて聞いた事をお話しします。豊島教会は、コロンバン会によって献堂され、マーフィー神父様、キーリー神父様方が、宣教師としていらっしゃいました。その神父様方が夕方になると池袋の西口でホームレスの方に話しかけたりポケットマネーを使って支援していたという話を聞いていたことが動機付けになっています。当時は、1990年代のバブル崩壊後、外山さんと一緒にもう帰天された有志数名の信者やシスターが、信徒が教会から社会に出て何ができるかという問いかけの一つに「ホームレスの方へ何かできないか」ということを考えました。そして、教会の周辺から色々と調べ、ホームレスの人々に食べ物お渡ししすることはできそうと、おにぎりを作って配りはじめたのが始めだったそうです。それがちょうど東京教区に岡田大司教が就任された2000年で、大司教のメッセージにあった「一歩」という言葉をいただき、「一歩の会」を始めたということでした。当初は15食くらいを声掛けしてお渡しするところから、無理せずに継続できるようにという思いで始められたそうです。

私は2020年に代表を引き継ぎ、現在は150食の手作り弁当を配るようになりました。

色々な方々が参加しているみたいですが。

豊島教会の信徒の方や聖公会の教会の方々やその友人や立教大学の学生さん等々様々な方が参加されています。信徒の高齢化がありますが、若い学生の方が参加していただけて助かっています。今後はさらに若い方々に参加してもらえるようにしていきたいです。

今後の課題についてはいかがでしょうか。

コロナの頃から並ばれる方の人数は少しずつ増え、今も増え続けています。150食では足りないこともあるようになりました。パン等他の食糧の寄付がない場合、配布できない人が出てしまうことがあります。実際、先月はパンや他の食品がなく10数名の並んでおられた方にお詫びをすることになりました。今後も増える利用者のためどのように対応するかが課題です。

 

カリタス東京活動報告

災害対応(平時の備え)

災害はいつどこで発生するか分かりません。私たちの属する東京教区内(東京都・千葉県)も例外ではありません。大雨やスーパー台風などによる河川の氾濫や、首都直下地震の発生も予想されています。 東京教区として将来起こりうる災害への平時からの備えを推進する必要があります。

1 教区本部機能の災害初動対応の確認

東京教区内で災害が発生した際に慌てることなく対応できるよう、発災直後に初期対応として教区本部機能がどのように動くかについての確認を、教区本部事務局とカリタス東京とで行いました。 発災時には大司教をトップに教区災害対策本部が立ち上がり、教区の災害対応の方向性を決定します。対策本部の決定に従って具体的な対応は、主に教区本部事務局と期間限定で設置されるカリタス東京サポートセンターが担うことになります。

2 災害危険度(リスク)の把握

災害への備えとして、ハザードマップを基にして東京都内各小教区の危険度をマップにして見える化をしました。 国土交通省の「重ねるハザードマップ」や、東京都都市整備局の「地域危険度一覧表(区市町別)」を基にして、教区内にある78の教会と集会所がどのような災害危険度の地域に立地しているかを調査しました。 これによりますと、荒川が氾濫した際は、流域の板橋区、足立区、荒川区、墨田区、江戸川区などにある10の教会では、床上浸水の危険があることが分かります。首都直下地震となると、さらに広範囲で教会が被災することになると思われます。

 各小教区の危険度をマップはこちらでご覧いただけます。是非皆さんの教会の災害危険度を把握いただき、日頃の備えに活用いただければと思います。