愛の奉仕活動紹介

愛の奉仕活動紹介: Vol.1 ぶどうの木とくでん

2023年12月19日

ぶどうの木とくでん

今回は東京の練馬区にある徳田教会で開かれているフードパントリーぶどうの木とくでんを訪問します。徳田教会は西武新宿線の沼袋駅から歩いて15分の住宅街にあり、フロージャック神父様が始められた社会福祉法人慈生会の老人福祉施設やベタニア女子修道会修道院に隣接しています。また、歩いて20分くらいのところには「つくろい東京ファンド」の生活困窮者用シェルターがあります。

徳田教会の正門前に「ぶどうの木とくでん」ののぼりが設置され開催を告知しています。

 

ぶどうの木とくでんは徳田教会の信徒会館を使って、隔月の最終土曜日に信徒が中心となって運営されています。スタッフは代表の三上さんを含めて6名で、内1名は利用者の方がスタッフとしてお手伝いをしています。

会場の信徒会館入り口です。

訪問した日は9月最終土曜日の配布日でした。配布日当日の朝10時頃からポランティアの方が集めたお米や食品を倉庫から信徒会館に運び入れます。そして、麺類や調味料など種類ごとに数の確認をして、その日の利用者予定数を考慮して利用者全員に渡す基本的セット内容を決め、それに従って袋詰めを行います。この日の基本セットは、カレーなどのレトレル2種類、缶詰3つ、ラーメン2袋でした。お米は、5Kg、2.5Kg、パックご飯の3種類を用意します。その他、スパゲティや素麺などの麺類、お菓子、飲み物、洗剤、テッシュ、野菜などを種類ごとに机の上に配置して一人何個という数を決め、その情報をスタッフが共有します。

お米を5Kgから2.5Kgへ小分けしていきます。

 

かぼちゃは切って小分けし、じゃがいもと玉ねぎを小袋に入れて準備します。

 

洗剤、マスク、トイレットペーパー、ティシュー等の日用品です。

 

配置終了しました。

 

スタッフに配布物の説明をしています。

 

配布開始前に記念撮影。2名が缶詰を買い出しに行っていていませんでした。

 

配布は午後3時から夕方の6時までの3時間行われ、予約した利用者が早い人は時間前から来られ、終了間際に駆け込んでくる方もいました。この日は68名の方からの利用予約がありました。利用者は受付を済ませると、ボランティアから基本セットの袋を受取り、会場を一回りして、各々のグループから好きなものを1〜2つ選んでいきます。

前回から、ベタニア女子修道会より利用者にお弁当の提供が始まりました。この日のお弁当のメニューはガバオライスにお彼岸のおはぎ付きでした。ガバオライスは数の調整が可能なので試しにやってみたとのことでした。シスターが受付に座り、食品を摂り終わった人にお弁当引換券を渡し、利用者の方は近くの修道会のホールへ受取りにいきます。ホールではお弁当をその場で食べていくお子さん連れのお母さんもいたりして、シスター方が憩いの場を提供しています。私も試食で頂きましたが大変美味しかったです。

 

シスターとお弁当の数量の打ち合わせ中です。

 

この日のお弁当、ガバオライスとおはぎです。

 

利用者の多くはリピーターの方のようで、利用者の方がスタッフの方に近況などを話していました。新しく申し込まれた方には、三上さんが状況を確認している場面も見られました、また、アフリカ系の方が来られた時は、スタッフがフランス語で対応をされていました。5時頃に商品が少なくなってします、買い出しに行くハプニングもありました。6時には予定されていた利用者が来られて後片付けをして終了となりました。お疲れ様でした。

 

ここからは代表者の三上さんにインタビューになります。
この会を始めたきっかけはなんですか。

東京教区の宣教司方針の具体化をプロジェクトで検討する中、コロナ禍となり教会でも仕事ができなくなっている人が出てきている状況をみて、地域社会の中で生活に困っている人を支援する活動を行うことが俎上にあがりました。その後、フードパントリーの設置が教会の手続きを経て徳田教会の支える活動として承認されて、22年4月からスタートしました。歴史的に徳田教会は山谷での活動等と結びつきが深かったという背景があります。

食品類はどのように集められているのですか。

教会の人達全体で支え合うということを大切にしようということで、信徒の方々の献品でスタートすることになりました。1年目は信徒の方々の献品で賄われていました。2年目に入ると信徒方の家の在庫品も少なくなり、賞味期限の問題もあって、皆さん新たに購入して寄付してくださるように変化しました。そして、数も少し足りなくなってきて、足りない分は教会から支援を受けて購入する様になっています。

教会の周辺の方からの食料の寄付を求めて努力されていると聞きましたが。

生活困窮者の問題は単なる教会だけの問題ではなく、地域社会の問題でもあるので、地域の方にも関心を持ってもらえるよう、第一日曜日にスタッフ5人で教会の周辺の400軒のお宅に食糧寄付を募るチラシを配布しています。その結果、毎回10~12世帯近くの方から寄付が集まっています。この反応には驚いています。寄付される方も初めて教会の敷地内に入る方もいるのです。

利用者さんの状況はどうでしょうか。

私たちの出来る規模からして、SNS等での利用者の募集はしていません。最初は、慈生会のセンターや社協で利用者を募ることから始めました。そして、事前申し込み制として、リピーターを重視してヒアリングをしながら利用者の方との繋がりを持ちながら運営しています。最近は、近くの「つくろい東京ファンド」から外国人を含む利用者が紹介されてみえています。現在60数名程度の利用者がいますが、規模的にはちょうどいいくらいの人数であると思っています。色々な所でやっているサービスを渡りで利用している方をどうするかという問題がありますが、山谷の経験から自分たちも充分な支援をすることが出来ているわけではなく、生きるために必死になっている方もいるのは事実で、あまり神経質になってもしょうがないと思っています。

ベタニア修道女会からお弁当が提供されてしましたが。

ベタニア修道女会はフロージャック神父様による設立の精神から、常に貧しい人のために尽くすことをしたいと思っておられ、その活動として利用者の方にお弁当を作って提供していただくことになりました。利用者の方は通常の食品よりお弁当を楽しみにしておられる方も多いように思えます。

現在困っていることはありますか。

私たちが充分なことが出来ているとは思わないので、利用者の方との関係性をどの様にしていくのかという難しさを感じています。また、生鮮品が少ないので、特に野菜類をもう少し調達できればいいと思っています。少数のスタッフだけの活動にならないように気をつけていいて、世代交代をスムーズに行い、人が変わっても継続できるような組織としたいと考えています。今、目の前にある貧困に対して主義主張を超えて手を差し伸べることができるのが教会の良いところであり、信徒の理解と応援を得られるように情報共有することが必要だと思っています。個人的には、さらに貧困の原因となっている根本的な問題にも目を向ける必要性も感じています。