愛の奉仕活動紹介

愛の奉仕活動紹介: Vol.2 高円寺こども食堂

2023年12月19日

高円寺こども食堂

今回は東京都杉並区にある高円寺教会で開かれている「高円寺こども食堂」を訪問しました。高円寺教会は中央線の高円寺駅から歩いて15分くらいで、環状7号線からは少し入った静かな住宅街にあります。すぐ隣にはベリス・メルセス宣教修道者会の高円寺修道院と同会を母体とする光塩女子学院の初等科・中等科・高等科があります。

  高円寺教会入口に看板が出されています。

 

「高円寺こども食堂は」は高円寺教会の信徒ホールを使って、毎月第1、第3土曜日に開かれています。元々は、名前の通り「子供食堂」として始まりましたが、コロナ禍を経て現在はフードパントリーとして食糧支援活動をおこなっています。この活動には代表の石川さんを中心に信徒の方々、ペリス・メルセス宣教修道者会のシスター方、地域のボランティア、高校生・大学学生のボランティアの方々がかかわっています。訪問した日には横浜雙葉高校や法政大学の学生さんが参加されていました。

10月第1土曜日の配布日にお伺いさせていただきました。当日、7時頃までに信徒の方の友人で子供食堂の時からお付き合いしていただいている船橋の青果仲卸業者さんから野菜が配達されます。朝9時頃からボランティアの方々が集まってきて、信徒ホールに隣接する保管所から、お米やレトルト食品やお菓子などが運び出されます。各家庭の大人と子供の人数は申し込みの時に把握しているのでその数に合わせて、根菜類の配分個数を計算して袋に小分けする作業を行います。

 

野菜はまず並べられて数を確認していきます。

 

焼き芋の小分けの準備をしています。

 

一方、当日の配布予定である28個の買い物かごを机の上に並べて、かごに利用者の名前と家族構成が書かれた紙を貼って食品の分配の準備をします。その後、野菜や食品をかごに家族構成に合わせて分配していきます。配布するお弁当は大人用と子供用の2種類があり、コロナ禍で地元の飲食店を支援するために地元のレストランで作ってもらっているとのことでした。担当の方が2か所のレストランに車で取りに行き、持ち帰った子供用と大人用の二種類のお弁当合計85食分を、家族構成に合わせて袋詰めをしてかごの横にセットしておきます。そして、12時の開始時間までしばし休憩となります。

野菜を高校生のボランティアの方と小分け作業をしています。

 

近所のお寺から「お寺おやつクラブ」を通じて寄贈されたお菓子です。

 

利用者ごとのかごに食材を入れていきます。

 

かごには利用者の大人と子供の人数が貼ってあります。

 

この日の子供用のお弁当です。

 

この日の大人用のお弁当です。

 

 お弁当を大人と子供の人数に合わせて袋詰めします。

 

野菜・一般食材・お米・お弁当がセットされて渡す準備が完了しました。

 

配布時間の12時から午後1時半までの間に利用者の方が切れ間なく来られる状況となっています。赤ちゃんを連れた若い母親、外国人のお母さん、高校くらいの子供、お父さんが失業中の家族連れ等、さまざまな方が訪れています。ボランティアの方が利用者の名前を確認して袋詰めをする台までかごと弁当とお米を運んであげて、5Kgのお米があるのでほとんどの場合、自転車のところまで荷物を運ぶのを手伝っていました。初めての方が来られると、石川さんが事前に電話で話したその方の状況を確認されていました。午後1時半にほとんど予定利用者の方が取りに来た段階で、片づけをして解散となり、遅く取りに来る予定者のために石川さんが最後まで対応されていました。

 

代表の石川さんにお話を伺いました。
子供食堂を始めるきっかけはなんでしたか。

2016年に生活に困っている子どもたちの為の子供食堂というものがあると知って、当時豊島区でやっていた子ども食堂を見学するなど勉強をしました。その後、自分の地域でできないかということを考えていた時に、教会の信徒ホールを使って良いということになり信徒の方々にミサ後のお知らせ等でボランティアを呼びかけて、説明会と試食会を経て始めました。当初は20名くらい、その後児童館、ケースワーカー、学校を廻ってチラシ配布などを行った。結果、徐々に利用者が増えて約100名の方が利用していました。コロナ禍で2020年の3月から2021年1月まで休止し、2022年の2月からお弁当の配布という形で再開しました。そして、2022年の秋から野菜を食材に加えて配布するようになりました。

色々なボランティアの方々が参加しているみたいですが。

食事を提供しているときは、調理や配膳で20名くらいのボランティアが必要でしたが、フードパントリーですと10人程度でできるので原則的に2交代でやっていて、それに大学や高校から紹介されてこられるボランティアの方が5名程度参加しています。学生の方ではゼミの研究のために来られる方もいて、パントリーが終わった後に質問に答える時間を設ける場合もあります。

食材の調達についてどのようにされていますか。

野菜は信徒の知人に青果市場の仲卸業をやっておられる方がいて、子供食堂の時から野菜を無償・一部有償で提供していただいていました。フードパント―に代わってからは、お弁当のほかに配布する食材として野菜を利用しています。お弁当は、コロナ禍で苦労されていた地元のお店に作ってもらっています。お米は修道会を始め様々な寄付が届いています。お菓子は、「お寺おやつクラブ」に参加している地域のお寺から寄付を受けています。一般食材は地元の社協から分けてもらっていますが、数がそろわないので、セカンドハーベスト等から支援を受けたいのですが、都心まで取りに行く人材がおらず利用できていません。

資金面についてはいかがでしょうか。

資金面では信徒の寄付の他、主にNPO法人全国こども食堂支援センターや民間の福祉財団からの支援金を活用しており、何とか成り立っています。毎回、書類の作成等で追われることになり、その点苦労しています。

子供食堂に戻す予定はどうですか。

フードパントリーは生活困窮している人に家で料理をする数日分の食材を直接わたせるという点で、一緒に食事をする子ども食堂とは少し違う意味があるように感じます。それぞれに意義があり、今後、子供食堂に戻すにしても可能であればフードパントリーも続けてみたいとは思っています。