愛の奉仕活動紹介

愛の奉仕活動紹介: Vol.3 聖イグナチオ・カレーの会

2024年01月22日

「聖イグナチオ・カレーの会」訪問レポート

今回は東京都新宿区にある麹町教会で行われている「聖イグナチオ・カレーの会」の現場を訪問しました。麹町教会は聖イグナチオ教会という名でも呼ばれて、中央線の四谷駅の目の前という東京教区の中でも最も交通の便のよい場所にある教会の一つです。すぐ隣には上智大学やイエズス会の管区本部、交差点の向かい側には修道会「幼きイエス会」の本部と双葉学園の幼稚園から高校までがあり、朝夕には多くの学生やサラリーマンが頻繁に行き交う光景がみられます。

四ツ谷駅前から見た光景で、右側に麹町教会の聖堂、左側と聖堂奥が上智大学の校舎となります。

 

麹町教会の聖堂、信徒会館と中庭の光景です。

「聖イグナチオ。カレーの会」は麹町教会の横にある岐部ホール前の入り口付近で毎月曜日の朝にカレー弁当と水・パンなどの食品を提供しています。この会は2008年から信徒ホールを使って今週月曜日に、主として路上生活者の方を対象に、カレーの食事やシャワールームの提供、必要に応じて生活相談を行ってきました。しかし、コロナ禍で密を避けるためにカレー弁当の配布へと活動へと切り替えました。コロナ禍でも活動を継続した数少ない団体の一つです。この活動には代表の岩田さんを始めとして麹町教会や他教会の信徒の方々らがかかわっておられます。

師走が押し迫った月曜日の配布日の朝7時に伺わせていただきました。麹町教会前のソフィア通りには、配布30分前にもかかわらず、お弁当の配布を待っている30名くらいの方が既に列を作って並んでいました。

朝7時頃、岐部ホール側入り口を先頭に利用者の方が整然と並んで待っています。

 

配布開始時間までには、列が正門をこえています。

厨房ではスタッフの方が今日準備するお弁当約200個の盛り付けの準備に入っていました。ガス台上の大きい寸胴鍋3個には既にカレーが煮込まれていて、いい匂いが厨房中にあふれていました。ご飯が炊き上がると、盛り付けが開始されます。盛り付けは流れ作業で、ご飯を計量しながら容器に盛り付け、カレーをよそい、福神漬けを添えて蓋をして、スプーンと一緒に袋詰めします。

約200食分のカレーが3つの寸胴鍋に用意されています。

 

ご飯は計量して盛り付けていきます。

 

具が均等に入りよう丁寧にカレーをよそいます。

 

福神漬けを添えます。

 

蓋をして上からテープで止めます。

 

スプーンを添えて袋詰めしていきます。

 

出来上がほやほやのおいしいカレー弁当です。

 

この日、調理をされているスタッフの方々です。

380gのご飯に具沢山のカレーをかけたもので、ずっしりとしたボリュームがあります。個別包装されたお弁当は保温箱に入れられて、岐部ホール前の会場には運ばれます。

こうして、7時半から配布が始まり、待っていた人たちに出来立てのカレー弁当が次々に手渡されていきます。この日はお弁当の他に、バナナ、パン、お水が手渡されていました。カレー弁当は作りたてのものが、厨房からビストンで運ばれてきます。時折スタッフの方が、列に並んでいる人数を数えて、厨房に報告し、厨房では最終的な盛り付け数の予測を立てながら盛り付けをしていきます。ご飯は全部で6釜分を炊いていて、1日のお米の使用料は42Kg~45Kgとなっています。ご飯を炊きながら作業が進んでいるため、途中、ご飯が炊きあがるまで少し時間が空きますが、その様な時間には待っている人とスタッフが会話をしている姿が見られました。利用者の中には、自分でタッパウェアを持参して来られる方がいました。このように、9時半まで継続時に配布して終了します。この日は約220個のカレー弁当が配られました。利用されている方は、荷物を抱えた野宿者の方、お年寄りの方、若い人等々様々な方がおられます。生活保護を受けている方、ネットカフェに寝泊まりしている若い人など様々な人がおられるとのことです。

開始前の配布場所の様子です。バナナとお水がテーブルの上に置かれています。

 

出来立てほやほやのお弁当が厨房から配布場所に運ばれていきます。

 

お弁当を受け取った利用者の方は、荷物に詰めて教会から帰っていきます。

 

代表の岩田さんと木嶋さんにお話を伺いました。
カレーの会を始めるきっかけはなんでしたか。

2008年に他の団体が麹町教会の信徒会館を使って行なっていた活動を、教会の有志が引き継いで始めたのが今のカレーの会の最初です。当時は、信徒会館のホールでホームレスの方を中心としてカレーを食べるというものでした。

その様な経緯もあり、当初スタッフも教会外の人が多かったが、お手伝いをお願いする新受洗者への声掛け、バザー等の行事を通じてのお誘いによって、お手伝いをいただく信徒の数も増えていきました。さらに、教会報「MAGIS」に利用者数の情報等活動内容を継続的に掲載してもらうことで、教会としての活動が認知されるようになりました。

当初、100名ほどの野宿者の方々が直接教会に来られることから、その状況に色々意見をいう方もいましたが、地道に活動の説明を続けることによって理解を得ていていると思います。

利用者の傾向の変化とコロナ後はどうなっていますか。

コロナ前にホールでカレーを提供していた時は、男性の野宿者が圧倒的に多く、コロナ禍でお弁当の配布に切り替えた後は、野宿者の方に加えて生活保護を受けている女性の方や若い方が加わるようになり、支援対象が拡大したと思います。利用者数はコロナ前が通年で6000人前後、コロナ禍から現在では9000から1万人となっており、増加したのは野宿者以外の新しい方であると思われます。

コロナ後、今までの様な野宿者の方中心で一緒に食事をしていたやり方に、この幅広くなった対象の方々も含めつつ、どのように戻していくか悩むところです。

環境問題への対応を考えているとのことですが。

当初は、利用者の方が近くの土手や公園でお弁当を食べて、容器を捨ててしまいクレームとなり、利用者にゴミを捨てないよう周知し、また、ごみ拾いにも回りました。現在では、ごみのクレームは減り、現在では特にごみ拾いには回らずに済んでいます。

さらに、プラスティク容器の量を減らすために、利用される方にはタッパーなどの容器を持参してもらえるよう呼びかけをしていて、現在では1割ほどの方がご自分の容器を持参してくれています。今後とも、出来るだけ環境の為にリユースの呼びかけを続けていくつもりです。また、環境対応型の容器の利用も考えていますが予算との関係で悩んでいます。