愛の奉仕活動紹介

愛の奉仕活動紹介: Vol.9 カリタス府中 こども食堂

2024年03月21日

「カリタス府中 こども食堂」訪問レポート

今回は東京都府中市にある府中教会で行われているこども食堂「LA MENSA DEGLI ANGELI」の活動現場を訪問しました。府中教会は聖家族教会としても知られ、京王線府中駅から歩いて10分ほどのところにあります。府中教会はミラノ外国宣教会の本部付属教会として始まり、1990年に東京教区の委託を受けて小教区の教会になりました。現在、本部は多摩に移転し、その建物の一部が信徒会館として利用されています。

カトリック府中教会の聖堂前にこども食堂の看板が出されています。

 

カリタス府中が運営するこども食堂「LA MENSA DEGLI ANGELI」(イタリア語で「天使たちの食堂」の意味)は、毎月第二、第四土曜日のお昼に教会の集会室で子供、親子連れを中心に教会の厨房で調理した食事を無料で提供しています。メニューは第二土曜日には月替わり、第四土曜日はカレーとなっています。また、カリタス府中は第四土曜日の午後に信者で現役の教師の方が子供の勉強をみる「スクールジョイ」という学習支援活動を行っています。

訪問したのは晴天に恵まれた2月の最後の土曜日の9時ころでした。教会内を案内してもらっていると、スタッフの皆さんが集まってきます。スタッフの方は毎回10数名おられて、信徒以外の方も数名、また、聖ヨハネ会のシスター方も参加しています。

本日のスタッフの方々です。

 

厨房では食材のカットが始まりました。イタリア風のお鍋2台で30人分のポークカレーを作ります。お肉は三元豚2.5Kgとボリュームと食材にこだわりがあるとのことでした。サイドメニューのサラダの野菜も新鮮なものをカットしていきます。今日のデザートはりんごとなります。カレー作りと並行して集会室に隣接したパントリーでは炊飯器でご飯が炊かれていきます。

選び抜いた食材でカレーを作っていきます。

 

サイドメニューのサラダの準備もできました。

 

他方、会場となる集会室ではテーブルのセッティング、飲み物の麦茶の用意、受付の準備、メニュー看板の作成が手分けをして進められます。

食卓にはアクリル板を設置します。

 

受付の準備中で、名簿を確認しています。

 

入口に掲示する今日のメニューは手作りです。

 

また、利用者に提供するお菓子や日用品も選びやすいように飾り付けをします。この日は、府中市のフードバンクから卵20ケース、信徒や修道会からお菓子やおむつ、衛生用品等が寄付されていました。聖堂の入り口には「LA MENSA DEGLI ANGELI」の開催を告げる看板が出されています。

今日提供するお菓子や卵が選びやすいように並べられます。

 

準備が整うと看板が設置されます。

 

食堂の開催準備がある程度整ったところで、スタッフが全員集まって子ども食堂を始めるお祈りとミーティングが行われます。おかわりは自由だけれども食べ残しの無いようにサーブするということが確認されます。

開始前にみんなでお祈りをします。

 

11時半に子供食堂がオープンすると、子供連れのご家族や中学生など様々な利用者の方が来訪し始めます。事前登録制ではありませんが、既利用者の方には登録カードが渡されており、受付でそれを提示してもらいます。また、初めての利用者の場合名前を確認して、次回に登録カードをお渡しするようになります。利用者が席に案内されると、サーブする係のスタッフがカレーとサラダを運んできます。

パントリーで盛り付けをして食堂に運びます。

 

お替りしたくなる具沢山のカレーとサラダ、デザートのりんごが付きます。

 

テーブルでは親子で楽しそうにカレーを食べる光景が見られます。また、一人でこられて黙々と食べて行かれる方もいて、様々な方が利用されているのがわかります。

親子で楽しそうに食事をしています。

 

カレーを食べ終わるとデザートのリンゴがサーブされます。子供達は、この頃になると、横に飾ってあるお菓子に目が行って親に選んでいいか聞いています。食事が終わると、家族ごとに卵や必要な日用品をスタッフから受け取り皆さんは「ありがとう」「おいしかった」とお礼の声掛けをしてお帰りになります。午後1時半の終了時間までの間、隙間なく利用者の方が訪れ、2時間で1テーブル当たり4回ほど、利用者の方が交代していました。

食事の後、子供たちのお楽しみのお菓子タイムです。

 

利用者の方が全員お帰りになると、スタッフ全員で反省会を行い、その中で受付係から今日の利用者の数が大人20名子供21名の41名であったと、さらに利用者の方の状況などが報告されました。ミーティングが終わると、各自担当するところの後片付けを行い今日の活動は終了となりました。

全員が集まって反省会を行います。

 

食事中に、シングルマザーで子供が小さい時から学習支援と子供食堂を利用している二人に話を伺うこと出来ました。その中で「ここには土曜日に学習支援に来るようになったのがはじまりです。昼間働いているので、親子でなかなか人とかかわる時間が取れないでいました。この食堂を通してバランスの良い食事ができるだけでなく、私も子供もスタッフの方や利用者の方とつながりができて感謝しています。」というお話しや、「親子二人だけの家族なので、ここに来ると私も相談できる人ができるし、子供にもスタッフの方が優しい大人として話しかけてくれることはすごくありがたいと思っている。」というお話を伺えました。

代表の佐藤さんと筒井さんにお話を伺いました。
「府中教会でカリタス府中と子供食堂を始めた経緯はどうだったのでしょうか。」

カリタス府中はベネディクト16世の「神は愛」の呼びかけに応えて、小教区のカリタスとして2015年に発足し、学習支援等の活動を行ってきました。2017年にアンドレア神父様(現補佐司教)が主任司祭に着任し新たな活動の機運がでて、信徒有志が中心となって子供食堂ができないかと高円寺教会に視察に行ったり、行政に相談したりして事前調査を行いました。その結果、2018年11月に子供食堂をカリタス府中の活動として始めることになりました。コロナ禍では3カ月は中断をしましたが、換気が行き届く聖堂に机を並べて、厨房が使えないので、食事をお弁当に切り替えて食堂を早期に再開し、その後厨房での調理も再開し現在に至っています。コロナ前は月一回でしたが、コロナ禍を経て現在は月二回となっています。

「行政との繋がりがあるとのことですが。」

 子供食堂の運営自体は信徒を始め様々な方の寄付等で成り立っており、行政からの金銭的な援助は受けていません。しかし、府中市の子供食堂のネットワークには加入しており、市による情報発信やフードバンクの情報提供などは受けています。カリタス府中は学習支援や子供食堂を通じて地域との繋がりを大切にしており、社会福祉協議会との関係を持っています。

「こども食堂をやっている中で苦労していることは何ですか。」

こども食堂で食事を提供することに特に苦労というものは感じませんが、食べ物を大切にするという食育や、フードロスを無くすという意味でも、食べ残しだけばゼロにしたいという思いで、利用者の皆さんやスタッフの方にもしつこいくらい話しかけるようにしています。