お知らせ

教区ニュース「カリタス東京通信2024年12月1日12月号」

2024年12月04日

横須賀軍港と神奈川の基地巡り

カトリック東京正義と平和の会
本橋英子

 

9月23日(月)~24日(火)、残暑厳しい中での参加者23名はマイクロバスでの移動に大いに助かった。初日は深浦ボートパークで平和船団に乗船し、湾内に停泊中の艦隊や、ゆっくり進む巨大な「いずも」護衛艦などを間近に見ることができた。敷地の隣は米軍基地という三笠教会に移動、昼食をとる。その後、横須賀市内の見晴らしのよい公園で、湾岸に係留する軍事色の艦隊群を眺めた光景は壮観だった。渡された資料によれば、米軍の横須賀母港は軍事的には「前進配備」と呼ばれる形態で、原子力空母の海外母港は横須賀だけだという。その理由として、①「潜在的脅威に近い」②太平洋を渡る時間が不要③日本政府の経済支援(米軍駐留費の74.5%は日本政府が支出。基地で働く人沖縄8,557人、神奈川9,084人)④横須賀の艦船修理能力の高さによる。ということだ。

17歳の頃から横須賀港の観察をしていたという案内の講師木元さんは、今も毎日交代で艦隊の移動を監視し記録している。

翌日はランドマークタワー展望台に寄り、横浜市にある米軍の港湾施設ノースドックを見学し、厚木基地へ。そこは青々とした芝生の広がる広大な公園のような場所。網状のフェンスで囲われた基地外側から、米軍機の離着陸の様子を見た。最後に相模原駅近くにあるビル屋上から広大な敷地を擁する米軍の相模原補給廠を見渡した。日本人は60人位の人が働き、その働く建物にしか出入りできないという。実は、この場所も木元さんの監視の対象だ。木元さんらの調査資料の提供は、多くの市民活動の地道な作業の賜物で、静かな抵抗の力に頭が下がり勇気も湧いてくる。

日米共同の軍事訓練強化や米軍への思いやり軍備費も苦々しく思うが、このような、いつでも戦争ができる態勢は、米国に都合の良い占領下にあるといってもいいような日本の姿である。日本が世界の紛争や戦争にそれとなく巻き込まれ加担していく過程も透けてくる。

日本のカトリック教会は戦前・戦中の戦争への協力を痛切に反省し、戦後50年を機に1995年に『平和への決意』を発表している。

日本国憲法の前文には、イエス・キリストの教えに通じる福音的な要素がある。イエスの福音は「戦争をしない(汝人を殺すなかれ)。隣人を愛する。敵を敵としてではなく、同じ人間として大切に思う」は、聖書全体に貫かれている。日本は憲法9条により戦後78年間、曲がりなりにも戦争をしていない。世界に誇れる平和憲法が、今、雲行きがあやしくなっている。わたしたちキリスト者は、日本国憲法の理念、理想をしっかり守り、そして多くの人に伝えていかなければならない。