お知らせ

教区ニュース「カリタス東京通信2025年3月1日3月号」

2025年03月13日

東神奈川の現場に立たせていただき

カトリック東京正義と平和の会
九重能利子

 

カトリック東京正義と平和の会は、旧「東京教区正義と平和委員会」の時から、関東大震災時朝鮮人虐殺の現地を可能なかぎり巡礼し、この悲しい負の歴史と向き合うことを大切にしてきた。名前も出身地も記憶されないまま虐殺されていった多くの朝鮮人犠牲者の歴史を忘れてはならないと、その真相究明と慰霊を目的に各地で教員たちが中心となって、証言集め、研究活動が取り組まれてきている。

一月十一日、私たちは二十名程で東神奈川を訪ね、「関東大震災時朝鮮人虐殺の事実を知り追悼する神奈川実行委員会」代表山本すみ子さんの案内・解説をいただきながら、現場を巡礼させてもらった。横浜における朝鮮人虐殺犠牲者については、そのほとんどが名前も、どのように殺されたのかも不明である。当時の子ども達の絵や証言は残されているが、現場など詳細はわかっていない。しかし虐殺百年目にして、新史料が公開され、神奈川地区の虐殺、横浜の虐殺が公文書の形で明らかになったのである。これを機に私たちは神奈川の現場を歩かせていただくことになった。その参加者の声を分かちあいたい。

「何故これ程まで朝鮮人がしいたげられたのかの原因を考え続けたい。」、「今回の関東大震災時虐殺フィールドワークでいちばん分かったことは、神奈川地域では百年前の一九二三年九月二日に軍隊によって五百人以上の朝鮮人が虐殺されたことだった。以前千葉習志野の騎兵隊をフィールドワークで訪れたことがあったが、この騎兵隊によっても神奈川地域で虐殺が行われたことが判明した、また東京湾を通過して横浜港に上陸した海軍によっても虐殺が行われたことも分かったことだった。さらにこの虐殺がほとんど秘密にされていたことも、山本すみ子さん達の手で明らかにされたことだった。新史料によって、関東大震災時朝鮮人虐殺が千葉地域と横浜地域で天皇の軍隊によって行われ、繋がっていたことが判明したことは、私にとって大きな驚きだった。私たち東京正義と平和の会が、東京教区正義と平和委員会の時から継続して行ってきたこの朝鮮人虐殺フィールドワークは、大きな意義があったと思う。」、「貴重な学びに参加できて感謝している。荒川から北では自警団など民衆の虐殺行為が主に語られていたように受け止めていたが、神奈川地区では軍隊の意向が際だっていたように感じた。朝鮮併合、三・一独立運動など、民族的偏見と抵抗への恐怖がそうさせたことが説明を聞いてわかった。歴史をくりかえさないためにこのことをしっかり覚え、伝えていきたい。」

歴史の現場に立つことは重要である。自分の問題として身体化させられるものがあるし、また被害者の声が聴こえてくるようである。