お知らせ
教区ニュース「カリタス東京通信2025年6月1日6月号」
2025年06月17日
チョン・ジンソク枢機卿宣教後援会援助金
カリタス東京事務局
田所 功
昨年、韓国ソウル大司教区の民間団体「チョン・ジンソク枢機卿宣教後援会」より菊地枢機卿あてに援助金の申し出があり、その活用をカリタス東京で行うようにと枢機卿から委託を受けました。その援助金は、ホームレスや社会の目が行き届いていない困窮者を支援するため意向で、5年間毎年10 万ドルを寄付するというものです。
チョン・ジンソク枢機卿は、1998年から2012年ソウル大司教区の大司教を務められ、2021年89才で亡くなられましたが、1950年に始まった6・25戦争(朝鮮戦争)の際の体験から、「隣国である日本から物的・人的資源の助けをかなり受けていた。その恩返しをしなければならないと」言っておられたそうです。チョン・ジンソク枢機卿宣教後援会は、その意思を引き継いで、ヨム・スジョン枢機卿の指導の基、「受けた助けに恩を返すことができれば」という趣旨で活動されています。
援助金活用についてカリタス東京常任委員会で話し合いました。3年前カリタス東京が設立されてから今日に至るまで、支援の現場からは「資金があれば実施したい取組があるのだが」とか「取組んでいるが資金的に厳しい」といった声が寄せられていました。それで、それらの声に応える形で援助金を活用する方向性を委員会で確認し、次の2つの分野での取組を進めています。
1. 自立に困難を抱える若者支援
児童養護施設や自立援助ホームなどの卒園者・中途退所者の中には、何らかの理由で自立に困難を抱える若者がいます。なかなか就職先が見つからないとか、一旦就労したが諸事情によって働けなくなり一気に生活が厳しくなるなどの事態に直面し、親代わりに育てた施設・団体に助けを求めてやって来ます。この分野へは公的資金の援助がなく、施設・団体側でも、持ち出しで支援しているのが実態だと聞いていました。カリタス東京とカトリック系の児童養護施設や自立援助ホームで話し合い、援助金運用規定を定め支援活動を行なっています。
2. 生活困窮者支援
仕事を失って生活費が底をついてしまった、家賃が払えなくなって住むところを失ったなどで生活困窮者支援団体に助けを求めてくる人が後を絶ちません。相談にのって生活保護などの公的支援につなげるようにしますが、早速その日泊るところがないといった状態です。短期間寝泊まりできるシェルターを運営する団体もどこも一杯の状況が続いています。東京山谷地区で活動するカトリック系の生活困窮者支援団体「ほしのいえ」からシェルターを運営したいとの希望を以前から聞いていましたので、援助金を活用してアパートの一室を確保し昨年9月シェルターを開設しました。