お知らせ

教区ニュース「カリタス東京通信2025年11月1日11月号」

2025年11月17日

トー横の女の子たちと出会って    

Sr.ヨルダナ(神の御摂理修道女会)

女の子は一人一人違う。でもだいたい今までの生活は、性的精神的な虐待、暴力。親からだったり、兄弟からだったり。自分たちが生きるために逃げるしかないとやって来る。場所は歌舞伎町、トー横。

今まではわたしにとって知らない世界でした。ちょっと関わるようになって少し知るようになりました。女の子の多くは身分証がない、着るものがない、一袋だけの荷物、おなかがすいていて、時々治療が必要。食べて、ゆっくり寝て、よく休むことが必要。

どうして逃げたのかな?家でがんばったらいいんじゃないか?と思っていました。女の子たちが話すのを聴くと、逃げる理由もよく分かりました。

親の離婚、母親が違う男を連れてきた、自分は邪魔、とか、父親から性的虐待を受けた、優しい言葉を聞いたことがない、頑張ったねと言われたことがない、など。こういう環境にいるとしたら私も逃げたかもしれない。原因はいろいろだけど一つにまとめるとやっぱり家族。子どもを愛さない、大切にしない。歌舞伎町は自分が必要とされていると感じる、優しい言葉をかけてもらえる、本当の愛ではないけれど、愛されると言う。それと、お金が欲しい。優しい言葉をかけられるとついて行く。楽しい、幸せ、お金が入る。けれど裏にいろんな問題があることが分からない、お金が入るとすぐホストにあげてしまう、そうして夜の仕事でこころとからだを壊す。

ほとんどの子にリストカットの痕があります。最初どうして傷をつくるか分からなかった。一回聞いたら、心の痛みよりはこの傷の方がいいと言いました。若い可愛い女の子は心が傷だらけ。いろんな関わり、時々食事を作ってあげる、普通の温かいごはん、簡単なものだけれど。彼女たちのだいたいはカップラーメンの生活をしているので。ある時シチューを作ったら、あぁ昔のおばあちゃんの味を思い出したと言っていました。クリスマスを一緒に過ごした時に、クリスマスの歌を歌って、ほんとのクリスマスの意味を伝えた。簡単なプレゼントを差し上げて、あぁ神様ほんとにいるね、とか誰かが言っていました。たまに薬を多量に飲み過ぎている子がいるとその子を見守ります。一緒に夜居たりすると、お化粧をしていて、「しなくてもきれいですよ」というと、「お母さんの顔に似ているので、違う顔にしたいから化粧するんだ」と。

だから、彼女たちが歌舞伎町に逃げるのは、本当に幸せになりたいから逃げるのでしょう。歌舞伎町の怖さを知らずに本当の怖さの中に入りこんでしまう。

一人一人のために祈るけれど、神様に任せるけれど、また歌舞伎町に戻ることもある、簡単ではないね。

だから最後はやっぱり、どんなに家が貧乏でも、どんな子どもであっても、顔がきれいとか、成績がいいとかではなくて、どんな状態であっても、親が子どもを愛すれば家に帰れるでしょう。家族は大切ですね。今の歌舞伎町の女の子は自分たちがなりたくてこうなったわけではない、犠牲者ですね。