お知らせ

教区ニュース「カリタス東京通信2026年1月1日1月号」

2026年01月07日

「戦争はウソから始まる」

カトリック東京正義と平和の会
細渕則子 

 

11月24日、カトリック麹町教会ヨセフホールにおいて「取材現場から見たパレスチナ問題 ~和平・共存の可能性」の題名のもと、フォトジャーナリスト豊田直巳さんのスライドトークが開催されました。豊田直巳さんは、1983年よりパレスチナなど内戦や紛争の起きている地域で、また、東日本大震災以降は、原発事故被災地取材を続け、写真や著書を通して現地の真の様子を伝えておられます。

「ネットで検索すると『1分でわかるパレスチナ問題』が一番にヒットしますが、パレスチナ問題は決してそんな単純なものではありません」という言葉で講演を始められ、ご自分の体験から、パレスチナの現状と複雑な歴史的背景をわかりやすく示してくださいました。その内容はとても豊富で、小文でお伝えできるものではありませんので、私が特に心に残ったことを分かち合わせていただきます。

一つは、最近イスラエル人の中にパレスチナ人を「人間の顔をした野獣」と見なす人が増え、それがガザ攻撃を含む、パレスチナ人迫害に繋がっているというお話しです。動物のような存在と見なすことで、ガザの攻撃のように、パレスチナ人を徹底的に攻撃して排斥することを正当化しているそうです。これを聞いた時、私は関東大震災の時の朝鮮人虐殺を思い出しました。政府当局の流したデマを信じた民衆による虐殺でしたが、民衆の朝鮮・韓国の方々への偏見がデマを信じさせる一因であったように思われます。このことは、現政権の外国人排政策に賛成する人々にも言えることではないでしょうか。 外国人への偏見に惑わされながら、自分たちは正しい判断をしていると信じているのです。それは間違っていると考えている私も、真に偏見から自由になっているかと言えば、そうではありません。自分の偏見に気づくことから始めたいと思います。

もう一つは「戦争はウソから始まる」という豊田さんの言葉です。湾岸戦争やイラク戦争の具体例を出しながら、いかに戦争が強者が作りだした「ウソ」によって始まり、マスコミによってそれが「事実」のように広がっていくかを説明してくださいました。それに対して、「ウソ」を見抜くためにはどうしたらよいのでしょうかという質問が出ました。豊田さんは、それは難しいことですが、まずその報道の現実をはっきりと見定め、できたら現地で見聞きしている人の話しに耳を傾けることではないかと答えておられました。そして、それぞれの人の感性、つまりこれはウソっぽいなという感覚を研ぎさましていくことも大切だということでした。前述の偏見からの解放と同時に、「戦争はウソから始まる」ことから、私は「真理はあなたがたを自由にする。」(ヨハネ8:32)という御言葉を思い出しました。真理であるイエス・キリストによって、世界中が自由になる日が一日も早く来ますように。待降節の今、「主よ早く来てください」と祈ると同時に、主の到来を早めるような行動を善意の人々と力を合わせて、進めていきたいと思っています。