お知らせ

教区ニュース「カリタス東京通信2024年2月27日3月号」

2024年02月27日

「誰ひとり、とり残さない」社会になれるのか?

NPO法人女性ネットSaya-Saya  松本和子

2015年SDGsが謳われたとき、日本の社会はほとんど見向きもしなかった。今では、保育園の子どもたちも、「えすでぃーじーず」と、大声で叫んでいる。この地球上に誰1人取り残さない、持続可能な開発目標として2030年までに達成しようと言うスローガンであった。当初、地域の講座や講演会で、SDGsのことを話しても「?」な雰囲気だったが、今では、環境問題など地方自治体も熱心に取り組んでいる。しかし、2030年までに本当に達成できるのか?

2023年の達成度ランキングでは日本は21位に下がった。中でも、日本で深刻な課題があるとされているものの一つが、No5のジェンダー平等である。日本のジェンダーギャップ指数でいうとさらに低く国連146カ国のうち、125位と、年々順位を落としている。日本の女性たちの教育や、健康の指数はトップレベルなのに、政治や、経済で数値を落としている。日本の女性は非常に教育程度も高く健康であるのに、この国の決定権のあるポストにはいない、すなわち非常にバカにされているといえる。でも、これを言っても怒る女性はほとんどいない。それくらい、女性たちは、どんなにバカにされても嫌なことがあっても我慢してニコニコしていなさいと教育されているのだ。国連の調査で世界一我慢強いのは日本の女性である。自分の意見も人前でははっきりとは言わない。誰かが言うのを待ってから、あるいは指名を受けてから発言する。そのような奥ゆかしい文化が好まれる。某政治家のセクハラ発言に聴衆の笑い声が聞こえてきた違和感。力のある女性をそのままリスペクトするのではなく、ちょっと下げながら褒める。結局男性の上から目線は変わらない。男性社会の特権は歴史を通じて変わらない。法律が変わり、ジェンダーイコール50:50と頭ではわかっても現実の生活レベルでは見えない抑圧がまだまだ現存する。「うちのかあちゃん怖い、逆DV」といっても、男性は見えない特権で女性を抑圧していることを意識していない。オレゴンで裁判官が「女性の暴力の多くは、セルフディフェンスで、男性の抑圧に対する正当防衛なのだ」と説明されたが、実際そのようなケースの方が多い。私が女性ネットSaya-Sayaで女性たちの相談を受けて20数年になる。もう1万件近く話を聞いているが、夫からのモラルハラスメントの訴えは後を絶たない。見えない抑圧は、女性の心を傷つけ病ませる。見えない暴力は、身体的暴力の6倍も影響が大きいと言われる。それを見ている子どもたちへの影響も大きく社会問題になっている。

最近私たちのシェルターに入ってくる若年女性たちのほとんどは、親からの暴力である。ネット社会の中で男性に食い物にされながら、「ネカフェ」周りをしつつ生き延びている。「多様性を認めよう」「誰ひとり、とり残さない」と政府のスローガンにもあるが、実際地域の中には、はじかれ、孤立させられ、自死におい詰められている人たちが多い。

私たちの教会は、どんな人も受け入れられる教会になっているだろうか?ジェンダーイコールだろうか?女性は教会の下働きになっていないだろうか?LGBTQの人もカミングアウト出来るだろうか?イエスの招きは、「誰ひとり、とり残さない」はずだ!