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教区ニュース「カリタス東京通信2024年5月1日5月号」

2024年05月08日

わたしたちの心は燃えていたではないか

事務局 田所 功

昨年9月3日カリタス東京が開催した、「東京教区内生活困窮者直接支援団体・グループ交流会」には15団体31名が集まった。そこに千葉県の小教区からの参加した信徒から「私たちは2019年の教皇フランシスコ訪日の後、教会で何かやろうと話し合って生活困窮者支援グループを立ち上げました」との発言があった。私はその時「はっ」とした。「自分は、教皇が訪日した際日本の信者に語りかけた呼びかけに応えて生きてるだろうか」と思ったからだ。

2019年11月「すべてのいのちを守るため」をテーマに掲げ教皇フランシスコが訪日された。当時私はカリタスジャパンで働いていたので「教皇と東日本大震災被災者との集い」の企画運営に携わった。東京での様々な行事、とりわけ東京ドームでのミサに参加された方も多かったのではないだろうか。教皇はミサの説教の中で「いのちの福音を告げるということは、共同体としてわたしたちを駆り立て、わたしたちに強く求めます。それは、傷をいやし、和解とゆるしの道をつねに差し出す準備のある、野戦病院となることです。キリスト者にとって、個々の人や状況を判断する唯一有効な基準は、神がご自分のすべての子どもたちに示しておられる、いつくしみという基準です」と話された。そして日本の信者たちに「すべてのいのちを守るために働くように」との呼びかけを残して帰国された。「あの時わたしたちの心は燃えていたではないか。」

しかし、残念なことに教皇訪日から数カ月後に、私たちは新型コロナの現実に直面することになる。ミサへの参加義務も免除される事態となり、対面での教会活動はほとんど停止に追い込まれてしまった。悪夢のような3年間。その間コロナの影響で収入が減少したり仕事を失う人が増えた。契約社員やフリーターとして働く人に影響が大きかった。また近年の物価高も人々の生活を直撃している。日々の食べ物への出費を削って生活せざるを得ない人が増えている。炊き出しや食糧支援に集まる人の中に、若い人、女性、外国人が増えてきている。家賃が払えなくなり住む家を手放さなければならなくなった人も増えている。シエルター(一時避難のための宿泊場所)を運営している団体では、いつも満室の状態で新規の受入れが難しい状態が続いている。日本全体に「視えない貧困が」拡がっているように思われる。そのような状態の中にあって、いくつかの団体・グループが「野戦病院」となり、新たに支援活動を立ち上げているのも事実だ。最初に紹介した千葉県の小教区のグループのように。

あれから4年半の歳月が流れたが、あの時の教皇の呼びかけ「すべてのいのちを守るために働くように」をもう一度思い起こそう。そして、呼びかけに応えて、個人としてまたはグループで何ができるか考えよう、そして行動しよう。「あの時わたしたちの心は燃えていたではないか。」