カリタス東京ニュース

カリタス東京ニュース2024年3月号

2024年02月20日

インフォーメーション

能登半島地震への対応

石川県を含むカトリック名古屋教区からの情報によりますと、教区災害サポートセンター(現地対策本部)として「カリタスのとサポートセンター」が金沢に開設されました。サポートセンターでは、羽咋(はくい)市の羽咋教会と七尾市の七尾教会に、ボランティアベースの開設を計画しています。しかしながら、未だに余震のおそれがあることや、道路の寸断や断水の影響で、各地からボランティアが駆けつけるようになるには、もう少し時間が必要です。カリタス東京では、今後サポートセンターから発信される要請に対して、協力をしていこうと考えています。東京教区の皆さんと一緒に取組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

救援募金に関して、以下のとおりご案内申し上げます。

教会の修復や被災された信徒への見舞金などの意向の方は、名古屋教区が募金を受付ています。
振込先
  • 郵便振替: 00810-5-50605
  • 加入者名: カトリック名古屋教区

*通信欄に「のと地震」と明記してください。

広く一般の被災者を対象とした災害救援活動支援の意向の方は、カリタスジャパンが募金を受付ています。
振込先
  • 郵便振替: 00170-5-95979
  • 加入者名: 宗教法人カトリック中央協議会 カリタスジャパン

*通信欄に「能登地震」と明記してください。

 

愛の奉仕活動の紹介コーナー

「山谷おにぎりの会」と「山谷夜回りの会」訪問レポート

今回は、「山谷おにぎりの会」と「山谷夜回りの会」という二つのグループが連携して山谷地区で食糧等の支援をしている活動現場を訪問してレポートをします。

山谷おにぎりの会

まず、千葉県松戸市にある松戸教会で行われている「山谷おにぎりの会」の活動現場を訪問しました。松戸教会はJR常磐線松戸駅の東口から徒歩10分ほどの、小高い丘のふもとにあります。松戸教会はもともとJR松戸駅の東口の目の前の現在のイトーヨーカ堂がある場所にあり、1970年代に都市計画で現在のところに移転したとの事でした。聖堂の隣には聖ミカエル幼稚園、また5分ほどの距離には愛徳カルメル修道会松戸修道院があります。

カトリック松戸教会の外観と聖堂内。

「山谷おにぎりの会」は「山谷夜回りの会」の活動日である毎月第1、第3木曜日(夏季を除く)に合わせて、教会の信徒会館の集会室でおにぎりを作り、それをカトリック三河島教会まで持っていき、教会に一旦預けます。夕方に「山谷夜回りの会」のメンバーが車で取りに来て、東京の山谷地区でこれを手渡しています。

この活動には代表の上坂さんをはじめ松戸教会の信徒の方々を中心として、愛徳カルメル会のシスターやボランティア等毎回10名以上の方々が参加しています。

私が訪問したのは1月の中旬の木曜日でした。午前9時過ぎにお伺いすると、1階の厨房では2升炊きのお釜2台でご飯を仕掛けている最中でした。おにぎりの作成開始は9時半からで、スタッフの方々が「おはようございます」の挨拶とともに教会に集まってきます。

まずはお釜2台でご飯を仕掛けます。

厨房の隣にある集会室では、机の上におにぎりに混ぜる具材が出されています。具材は定番の「梅干し」「梅しそ」「おかか」「海苔」となります。ボールにほぐした梅干と細かく切ったしそを入れてよくかき混ぜておきます。別のボールにおかかと細かくちぎった海苔を入れておきます。

おにぎりに混ぜる具を作ります。

ご飯が炊き上がると、一釜を2つのボールに移します。ご飯をうちわで扇ぎながら少しさまし、塩を入れ混ぜ合わせ、次に梅干しを入れてさらによく混ぜあわせます。その後、おかかと海苔を混ぜて、最後に醤油で味を整えます。ご飯だけでも大変美味しい味に仕上がります。

ご飯に具を混ぜ込みますが、けっこう力仕事となります。

別のテーブルでは、おにぎりを握る前準備として机の上にパットとサランラップが並べられます。具が混ぜ終わると、おにぎりの握りに入ります。手際よく、一つ一つふっくらと握っていき、最後に海苔が巻かれてご飯が少し冷めてからラップに包んで仕上がります。

おにぎりを握って海苔を巻いて完成です。

この後、3釜目のご飯が炊き上がるまでの間に、食材の整理等を行います。3釜目が炊き上がると同様におにぎりを作っていき、おにぎりは保冷バックに入れられます。この日には120個のおにぎりを作りました。

完成したおにぎりは配送の為にパックされます。

献品の食材を無駄にしないよう賞味期限を確認しながら整理します。

おにぎり作りと後片付けが終わり、みんなで茶話会をやっていると、三河島教会へおにぎり等の配送を担当する方が到着して話に加わります。ひとしきり話が盛り上がり、三河島へ出発の時間になると車におにぎりと献品の衣類や日用品を積んで三河島教会へ出発します。三河島教会に約40分で到着すると、主任司祭の鈴木神父様が受け入れてくれてくださり、おにぎり等は教会に一時保管されます。夕方に、今度は山谷夜廻の会のスタッフが車で取りにきて山谷へと運ばれることになります。

持ち寄ったお菓子で茶話会がお祈りで始まります。

支援物資を積み込み、三河島教会に向かいます。

 

明治通り沿いにあるカトリック三河島教会の外観です。

代表の上坂さんに話を聞くと、山谷おにぎりの会は山谷夜廻の会との連携を取りながらかなり昔から続いている活動で、上坂さんは会の代表を交代して間もないとのことでした。米、梅干し等の食材はほとんど献品や献金で賄われているとのことで、山谷おにぎりの会の何人かは山谷夜廻の会の活動にも参加されているとのことでした。また、特に配送の仕事はもう少し若いひとも参加してもらえればという希望もおっしゃっていました。

山谷夜回りの会

さて、ここからは「山谷夜廻の会」の活動レポートとなります。「山谷夜廻の会」の原点はフランシスコ会の中谷師が1980年代後半から「山里の家」として山谷地区で炊き出しと夜廻の活動したことから始まります。2003年に中谷師が死に直面する老人の魂救済に力を注ぐことになったため、この「山里の家」の活動の内、夜廻の活動を当時のスタッフがその意思を引き継ぎ現在に至っています。

夜、7時半少し前になると、JR南千住駅の改札口を出たところにその日参加するボランティアの人が集まってきます。今回参加したのは2月の初めの寒い日でした。参加者はベテランの方もいれば、初めて参加される方、若い方か壮年の方まで幅広い年齢層の方が参加されます。学校の休み中には、高校・大学の学生や時には親に連れ添われた中学生が参加することもあります。会のホームページを見て参加される方も多いようです。この日は14名のボランティアが集まりました。支援物資を積んだ車が2台到着し車に乗り込んで、配布場所の山谷へと移動します。乗り切れない場合は、何人かが歩いて10分程度の現場に向かいます。

待ち合わせ場所のJR南千住駅です。

 

時間になるとスタッフが車で迎えに来てくれます。

配布場所付近の路上で、おにぎりや衣類などの支援物資を下ろし、肌着などの新品は包装を剥がして、タグを全て外し、ゴミが出ない様に下準備をします。その後、種類ごとにまとめられたバックを各々みんなが抱えて、近くの「いろは商店街」に運びます。

配布場所近くの路上で物資をおろして下準備をします。

いろは商店街には30名ほどの方の列ができていて、おにぎりを受け取った後、石鹸・歯ブラシ、髭剃り等の日用品とセーター、防寒着、ズボン、靴下、下着等を自分のサイズにあったものを選んで受けとります。「いろは商店街」で渡し終わると、福祉センター方面等へ移動し野宿をしている方や、途中に路上にいる方に各自が持っている品物が必要かの声掛けをして手渡していきます。この日は、松戸で作られたものの他に、60個のおにぎりが加わり約180個のおにぎりが配られました。人数については、生活保護費等の公的支援金の支給日や気候に左右されるとのことで、この日は公的支給後で寒さが厳しかったこともあり、比較的少ない方でした。

山谷のいろは商店街の配布場所でおにぎりを手渡し、衣類等を選んでもらいます。

 

周辺を廻って野宿している人たちに声をかけていきます。

配布が終了すると、種類毎に畳んで残数を記録して車に積み込みます。終わりに、歩道で反省会を行い、初めての参加者かいる場合は全員で自己紹介をした後、活動の中で気づいたことを報告して配布活動は終了します。帰りは同じ様に車でJR南千住駅まで送ってもらい、帰宅の途につきます。山谷夜廻の会についての詳しい内容に関しては、同会のホームページをご覧ください。

 

「枝の会」訪問レポート

今回は千葉県千葉市にある西千葉教会で行われている「枝の会」の活動現場を訪問しました。西千葉教会はJR総武線西千葉駅南口から徒歩8分、京成線西登戸駅から徒歩4分の閑静な住宅街にあります。聖堂の裏手にある昔は聖マリア幼稚園として使われていた建物が、現在は信徒会館として改装され様々な活動の中心として使われています。

西千葉教会の外観です。

「枝の会」は毎月第四土曜日に信徒会館の厨房で、ご飯と豚汁を作り、午後5時から千葉駅の近くにある千葉市中央公園で食料、衣類、日用品の提供をしています。「枝の会」からいただいた資料によれば、2001年頃から教会の福祉部の中で、千葉公園付近のホームレスの人々に対する話題が上がる様になり、2004年にかけて様々な方法で調査を行い千葉にもホームレスの方が130名程度いることがわかった。そして、他のプロテスタントの団体が千葉市中央公園で炊き出しをやっていることを知り、それに衣類などの提供することで参加をしました。2005年に現在の「枝の会」を立ち上げ、同年2月に豚汁とおにぎりの炊き出しを始めました。それ以来、行政や他のグループとも話し合いながら、生活保護への橋渡し、「共生夏祭りの開催」、夜廻り等、路上生活者の支援活動を行ってきました。2020年3月からコロナのために活動をやむを得ず休止し、2023年4月からお弁当とお茶と豚汁の炊き出しを再開したとのことです。

この活動には代表の佐藤さんをはじめ西千葉教会の信徒14名が中心となって参加しています。

私が訪問したのは1月の最終土曜日でした。午後2時過ぎにお伺いすると、これから作業を始めるために倉庫から様々な機材を運び出そうとしているところでした。厨房では豚汁の具材が調理台の上に並べられ、お米をとぐ作業が開始されます。お米は5Kgでご飯35パックを作ります。また、豚汁は、お代わりの分も含め少し多めに作ります。

丁寧に糠を取って、3升炊のお釜でご飯を炊きます。

本日の食材です。椎茸やシメジは下に隠れてしましました。豚肉は2kgの量を使います。

豚汁はその下準備として「コンニャク」はあくぬき、油揚げは油抜きを施し、途中アクを丁寧に取っていくなど丁寧に豚汁を完成させます。

豚汁の具材を手分けして手際よく刻んでいきます。

 

順番を考えて具材を投入し、お味噌を漉し器で漉しながら入れて豚汁が完成しました。

 

スタッフの皆さんの集合写真です。

一方、厨房の隣にある集会室では、ご飯を入れるバックが並べられ、黒豆が添えられて準備されます。ご飯が炊き上がるまで、主任司祭の福島神父様も参加してお茶をしながら今日の公園へ行く人等の担当を決めます。

ご飯が炊きあがると作業が再開され、ご飯が次々に盛られていきます。ご飯の上にふりかけをまぶして、沢庵を最後につけて完成します。残ったご飯で、おにぎりを握っておきます。35人以上並んだ場合はこのおにぎりを配ります。そして、このご飯パックとお茶、お菓子、お箸をセットにして袋詰めをして、運搬用に箱に詰めていきます。この日は、衣類などの物資があるためその配り方の相談が事前にされていました。

ご飯用のパックに今日は黒豆を添えていきます。

 

ご飯が炊けるまで、公園へ行く担当などを決めます。

お弁当の盛り付けをし、完成したお弁当と今日一緒に配るお菓子とお茶です。

 

お弁当、お茶、お菓子、お箸を一人分ずつレジ袋に入れておきます。

 

今日持っていく衣類とホカロンです。

午後4時過ぎになると、出来あがった豚汁を毛布に包んでダンボール箱に入れ、車に積み込みます。また、ご飯パックと衣類、配布用の器と配布用のテーブル等も積み、配布を担当するスタッフが2台の車に乗り込み公園に向かいます。

豚汁はキルトや毛布に包まれて段ボールに入れて運びます。

車2台に物資を積んで配布場所に出発します。

午後5時前に公園に着くと、30人くらいの利用者の方が並んで待っていました。この日は松戸教会の「山谷おにぎりの会」の代表上坂さんが現地から活動に参加します。娘さんは調理から参加していました。車で到着したボランティアはテープルをセットして豚汁とご飯のパックの配布の準備をします。時間になると豚汁を器に入れて、小判パックと一緒に渡していきます。食料の配布が始まると、その横で衣類や日用品をブルーシートの上に並べて準備をします。豚汁はおかわり自由なので、見ていると皆さん公園の思い思いの場所で食べて、「おいしい」と一人で2杯から3杯食べる方が結構います。寒い中での熱々の手間を掛けた具沢山の豚汁は格別なのだと思います。

到着すると提供の準備をします。すでに、30人程の列ができています。

 

おかわりは自由でお鍋の底が見えるまで盛り付けます。

また、防寒着、下着等の衣類や日用品も瞬く間に売り切れし状態になっていきます。スタッフの人たちが顔見知りの人たちや、新しくきた人たちと話をする光景が見られますし、スタッフを尋ねてきて現況を話している場面も見られ、利用者の方々との繋がりの歴史が感じられました。

 

防寒具、下着、靴下、髭剃りなどから選んでいきます。

20分ほどで豚汁も無くなり、ご飯パックとおにぎりも全部終わった後、後片付けをし、容器等が公園内に落ちていないかゴミ袋を持って点検に回って確認します。その後、車で教会まで帰り、厨房の後片付けをして午後7時過ぎに解散となります。

終わることには暗くなってきていました。

千葉地区では本当にホームレスの人が多かったが、最近は生活保護等の社会福祉を受ける人が増え、野宿をしている人の数は減少しているが、物価の上昇やコロナ等で、生活に困窮する人は増加しているようです。この会が昨年の4月に再開したときは12名程度だった利用者が10月からはずっと30人を超えている状態とのことです。代表の佐藤さんは、「毎回、ご飯は5kgで35人分位作っていますが、豚汁はお代わりの分も含め少し多めに作って行きます。お代わりするのを楽しみにしている人もいます。路上者が余りいなかった時は、教会の中から止めても良いのではないか?言われたりもしましたが、寒い中待っていてくださって、豚汁美味しかったよ!と言っていた方の笑顔を思うとやはり続けて行こうということになります。私達の方が励まされ、喜びを頂き、寒い日も暑い日も頑張ろうとスタッフは頑張っています。」とお話しされていました。

 

カリタス東京活動報告

世界病者の日のミサ報告

2月11日(日)世界病者の日に、午後2時から東京カテドラル聖マリア大聖堂で世界病者の日のミサを、カリタス東京が運営を担当して実施しました。主司式はアンドレア司教で約300人が参加しました。アンドレア司教は、説教の中で「重い皮膚病についての記述はすべて、人間的交わりからはじき出されている状況を示唆しています。重い皮膚病の人にだれかが近づくならば、皮膚病の人は「わたしは汚れています!」と叫ばなければならないほど、すべての人から「のけ者」にされています。ここで、私たち自身に目を向けてみましょう。私たちが生きている社会、あるいは職場において、あるいはこの教会の中にいるかもしれない「のけ者」にされている人々の叫びを、私たちは聞いているでしょうか。そしてその人たちに対し、どう答えますか。この福音書に耳を傾ける時、イエスに向き直り、イエスに信頼するなら、聖書の中の出来事が、今、ここで、私たちの間で、実現するに違いありません。」と呼びかけられました。

 

愛の奉仕に取組む団体・グループの集い報告

世界病者の日のミサの後、関口会館ケルンホールにて東京教区内で愛の奉仕に取組む団体・グループの集いを開催しました。昨年に続いて2回目の開催となり、約50団体120名の方々にご参加いただきました。菊地大司教は挨拶の中で「世界病者の日を定められた教皇聖ヨハネパウロ2世は、病気で苦しんでいる人たちのために祈りをささげるように招くと共に、医療を通じて社会に貢献しようとする多くの医療関係者や病院スタッフ、介護の職員など、いのちを守るために尽くす方々の働きに感謝し、彼らのためにも祈る日とすることを呼びかけました。この二つの意向を忘れないようにいたしましょう。」と述べられました。

生活困窮者支援タスクチーム会合報告

2月11日、教区内の生活困窮者支援団体・グループの中から、10団体11名の方に集まっていただき会合を開きました。昨年開催した団体・グループ交流会の中で、「このような集まりを継続して開催してほしい」との要請が多く寄せられましたので、今後の進め方を話し合う目的で開催しました。会合では、①団体・グループ間の情報共有の仕方、②支援物資の配送を共同で行う可能性、③不足しているシエルター(緊急一時避難所)への対応の可能性などについても話し合いました。2回目を4月に開く予定です。