愛の奉仕活動紹介
愛の奉仕活動紹介: Vol.39 社会福祉法人聖母会2
2026年06月20日
「社会福祉法人聖母会」訪問レポートII
今回は、6月号に引き続き、東京都新宿区に本部を置く社会福祉法人聖母会を訪問しました。聖母会は東京都新宿区で医療施設聖母病院、訪問看護ステーション、聖母ホーム等を運営し、北海道では児童養護施設天使の園、神奈川県では聖母の園保育園、介護保険施設聖母の園、地域ケアプラザ(2施設)、熊本県では介護保険施設聖母の丘、鹿児島県では平和の園保育園(種子島)や介護保険施設奄美の園(奄美大島)等々全国的に多数の福祉施設を運営しています。
今回は、東京都新宿区にある聖母訪問看護ステーションを訪問して保健師の北川緑さんにお話をうかがい、その後聖母ホームを訪問して施設長の黒田善子さんにお話をうかがいました。

社会福祉法人聖母会の聖母病院です。
訪問看護ステーションを設置されていますがその役割や日常の活動について教えていただけますか。
聖母病院はもちろん、近隣の第三次医療機関、地域医療支援病院(地域中核病院)、プライマリー医療機関(かかりつけクリニック)の主治医から訪問看護指示書を発行して頂き在宅療養をサポートしています。訪問看護の対象者は高齢者(認知症や慢性疾患を含)、末期がん患者、難病、障がい者、妊婦さんなどです。ケア内容は①体調や病状の把握、②医療的サポート(カテーテルや点滴の管理)、 ③家族への指導サポート、④医療機関・薬局・介護関係機関との連絡調整、⑤保清、⑥ 薬剤管理、⑦リハビリテーション、⑧緊急時の電話・訪問対応(24時間体制)などとなっています。 訪問は電動自転車を利用しています。訪問範囲は半径2㎞としていましたが、今では更に広範囲にわたって訪問しています。

聖母病院のエントランス部分となります。
看護師さんがお一人で行くのですか、それともチームで行くのですか。
訪問は原則として看護師が一人で伺います。単独訪問に伴う不安には、LINEワークスを活用したリアルタイムの相談体制で対応。帰所後はスタッフでケース検討し、より良いケア方法の模索とともに、各看護師のストレス緩和にもつなげています。
今職員の方は現在何名ぐらいおられるのですか。
スタッフは常勤4名を含む看護師12名、作業療法士1名(精神疾患・難病リハビリ担当)、事務員2名ほか、計16名が所属しています。週1回・子育て中の時短など多様な勤務形態があります。

聖母病院大聖堂前にはルルドがあります。
患者さんには皆さんで担当するような形なのですか。
聖母ステーションの大きな特徴が、約100名の利用者全員をチーム全体で担当する「チーム制」です。多くのステーションでは担当者を固定しますが、聖母ではスタッフが全利用者の情報を共有し、連携して対応します。
またチーム制は緊急時の電話対応においても、利用者様が顔なじみの看護師と話せるメリットがあります。スタッフも状況を把握しやすく、迅速で的確な対応が可能になっています。
施設を運営していて現在直面している課題はなにかありますか。
まず、スタッフの採用・育成 既存スタッフの高齢化(スタッフは40~60代)があります。 若手のスタッフの採用と育成が喫緊の課題です。次に、増加する他の訪問看護ステーションとの競合の中で選ばれるステーションであるための特色づくり、強味の見直しと強化です。同法人である聖母病院(バックベッド)や聖母ホーム(ショートスティやGH・特養への橋渡し)との連携強化がまだまだ可能であると思っています。

病院の中庭には聖フランシスコの像があります。
この事業に関わっていてよかったと思う瞬間はどのようなときですか。
異なった価値観の方との出会いは醍醐味です。また家族の在り方や地域との関係性も療養に大きく影響しています。最期の迎え方はパターン化できるものではなく、その方その家族に寄り添いながらより尊厳のある最期を一緒に模索することも訪問看護師の役割であり、 やり甲斐につながると考えます。
この後、聖母ホームを訪問し施設長の黒田さんにお話を伺いました。
聖母ホームの起源は、1922年に都内大森でカトリックの婦人団体であった「あけの星会」が1人の貧しい老女を保護したことに始まるとされています。その後これが「聖マグリット養老院」と命名されて1931年に聖母会が事業の一切を承継し、現在の地に養老院を新築して聖母ホームとなっています。

聖母ホームのエントランス部分となります。

インタビューにお答えいただく黒田施設長です。
聖母ホームでは、様々な高齢者事業を運営していますが、まず、養護老人ホームの概要と役割をお教え願えますか。
どの事業所も利用される方が原則65歳以上の高齢者が対象です。
養護老人ホームは、生活環境上において独居が難しい方や経済的理由によって一人暮らしが困難な方で、基本的には身体的に自立している方が入居されることになっています。実際は身体的に援助が必要な方もいます。具体的には、アパートで一人暮らしをしていたところ、建て替え等でアパートを退去することになったが、高齢者が理由で次のアパートを借りることができない場合、経済的に困窮し生活ができない、また家庭内で高齢者虐待があった場合なども、対象になります。利用に関しては福祉事務所がその可否を判定しています。
養護老人ホームは東京八王子等の多摩地域には大きな施設があるのですが都心では施設数も定員も少ないのが現状です。聖母ホームでは定員50床となっています。運営には税金が使われるために、行政によっては入居認定が厳しいところもあり、東京都下では7~8割の入所にとどまっている施設もあるようです。
他の制度と施設との関係はあるのですか。
介護保険制度とは異なり養護老人ホームは、行政が措置決定を行う措置制度になります。生活保護を受けている方も多く、独居生活ができない方の最後の寄りどころではありますが、例えば経済的な問題が解消され自立が見込めるようになった場合には退所もあり得ますし、常時介護が必要となり要介護認定が3以上になった場合、特養等の介護施設に申し込むことになります。
特別養護老人ホームはどういう方が入居されるのですか。
特別養護老人ホームは、要介護認定3以上の方でないと申し込みができません。養護老人ホームとは異なり、経済的事情というよりは、身体的・精神的な事情が重視されます。
常に介護が必要で、居宅での介護が難しい方が、食事、入浴、排泄など日常生活の介護や健康管理など、生活支援を受ける施設です。

聖母ホームの外観となります。
特別養護老人ホームへの待機者はかなりいるのですか。
一時期300名ほどの入所希望者がいましたが、現在では150名ほどに落ち着いています。
小規模多機能や有料老人ホーム等、施設も増え、利用者が選べるようになってきたのだと思います。また行政としては、住み慣れたお家で最期までというのを目標にしているところがあります。
ショートステイとデイサービスについて教えてください。
通常は自宅で生活されている要介護者は、訪問介護等の介護サービスを利用されているか、あるいはご家族でお世話する方がいるという環境があると思います。このような場合に、ご家族を介護から解放する時間を作る目的でショートステイは利用されることが多いです。利用者本人のためというよりは、お世話するご家族のレスパイト(休養)のためにショートステイを利用するといった目的がメインになります。まれに、利用者本人がショートステイに来ると他の人とお話できるからと希望され、喜んで来られる方もいますが、環境が変わると利用者は戸惑うこともあり、自分から積極的にという方は少ないです。しかし、ショートステイに来たからには利用者の方にも楽しんでいただけるように私たちも可能な限り努力しています。ショートステイは1週間ほどの利用が多く、毎月ご利用になられる方もいます。デイサービスは現在休止しております。

隣接する聖母病院大聖堂の十字架です。
ヘルパーステーションはどのような役割ですか。
訪問介護の役割は、利用者が自宅で自立した生活を送れるように支援することです。ヘルパーが利用者のお宅を訪問し、掃除・洗濯・買い物・料理等の家事支援をする生活援助や、食事・排泄・入浴・移動等の身体介護を提供しています。現在、5名のヘルパーが所属し、自転車で利用者のお宅に伺っています。
認知症対応型グループホームがあると聞きましたが。
グループホームは認知症高齢者を対象にした少人数の介護施設であり、家庭的な雰囲気の中で安心して暮らせる環境を提供します。グループホームでは、食事の準備・掃除・洗濯等の日常生活に必要な行為を利用者と職員が共同で行うことにより、残存機能を保ちつつ認知症状が穏やかになり、安定した生活を送ることができます。
9名1ユニットで運営をしていて、最初の頃は、皆さんでキッチンに立って、それぞれ役割を持って職員とお料理を一緒に作るということが可能でした。しかし、ここ最近は認知症の進行や身体的な衰えが見られ、現在は厨房の方でお食事を用意しています。また職員と一緒に楽しくお料理ができるようになると良いと思います。

大ホールとなります。
認知症が重くなってくると特別養護老人ホームに移られたりするのですか。
グループホームは共同生活できる方が対象ですので、認知症の進行や身体状況の低下等で、特別養護老人ホームに入所申請をされ、移行された方もいます。
また、グループホームでは銭湯のようなタイプのお風呂で、ストレッチャー(寝台)浴の用意がありません。座位保持が難しい方は、特別養護老人ホームの方がご本人の負担も少なく、ストレッチャー(寝台)浴で入浴ができ、清潔を保つことができます。
居宅介護支援事業所と地域包括支援センターは何をするところですか。
居宅介護支援事業所は、在宅で生活する高齢者に必要な支援を提供し、自立した生活を送ることができるようサポートします。ケアマネージャーが個々の利用者に適切な介護サービスを計画(ケアプラン)作成し、家族や各介護・医療機関等と連携を図ります。
地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、介護・医療・保健・福祉の各分野から包括的に支援を行う役割を担っています。総合相談支援・権利擁護・介護予防ケアマネジメント等の業務を行っています。
母体が聖母会であることで特徴的なところはありますか。
以前はシスターが5名ほど聖母ホームで奉仕されていて、カトリックの精神が直に伝わっていました。現在は受付に1名、特養の介護に1名シスターが勤務しています。聖母と名前がついている施設ということで、利用される方には優しい施設という期待があります。優しい気持ちで働いていただきたいと常々職員には言っています。カトリックの行事も新型コロナの時期にだいぶ減ってしまい、毎月の初金ミサも今はまだ再開できていません。
聖母ホームではいち早くターミナルケアに取り組んでおり、職員もターミナルケアの経験があります。シスターには病者の祈りを、ご本人のご希望があれば神父様にお願いし病者の塗油をしていただくこともあります。お看取りも増えてきており、その過程を職員が支えています。ターミナルの方に関しては面会時間にかかわらず、ご家族が聖母ホームを訪れて、お顔を見て、話しかけ、帰ることが遠慮なくできます。職員が必ず誰かいますし24時間体制ですので、急変の際にもご連絡をし、利用者・ご家族ともに安心して最期の時をご一緒に過ごされています。
看取りに関しては、ご利用者が亡くなることは寂しいことですが、ご家族と一緒に最期まで看取ることができ良かったと感じます。「もうこれからは、痛みもなく、苦しみもなく、安らかにおやすみください。本当にお疲れ様でした。」とご利用者に声を掛けます。
出棺時には、聖歌をみんなで歌いながらお見送りします。その後、 聖母ホームでは死者の月である11月にご家族と追悼ミサを行います。

受付ではシスターが奉仕されています。
今高齢化が進むなかで、最近の変化は何かありますか。
やはり最近目立つのが、老老介護の世帯です。90代のご主人を80代後半の奥様が介護していたとか、親が長寿で子供の方も80代という場合もあります。その場合、なかなかお家で見るのが厳しくて、入所できて助かったという言葉を聞くケースが多くなっています。最近、全体的に長寿になっているせいか90歳以上の方が入所されることが多くなっています。
地元との関係はどうなっていますか。
コロナ禍以前は聖母ホームでは、納涼祭という盆踊り大会を開催し模擬店も出し、地域の方たちがここに入ってくることもありましたが、現在は納涼祭が再開できていません。しかし、こちらから地域のお祭りのお手伝いに参加したり、聖母ホームがお神輿の休憩所を提供したりと利用者も参加し、地域との交流を図っています。

大聖堂内のマリア像です。
老人福祉施設の場合スタッフの募集に苦労される例が多いと聞きますがここではいかがですか。
スタッフを募集しても応募がなく、採用は簡単ではありません。特に介護士・看護師の採用には苦労しています。現在、外国人の介護職員を聖母ホームでも採用しています。外国人のスタッフはネパール、ミャンマーの方が多いのですが、皆さん真面目で優しく優秀です。今は8名の外国人のスタッフが働いていて、この4月に1名韓国人のシスターが入職してくれました。やはり、シスターに入っていただくのはキリスト教の精神を伝えることにも繋がり、とても心強いです。
仕事に関わって良かったと思う時はどんな時ですか。
ご利用者やご家族に感謝された時ですとか、ご利用者が本当に嬉しそうな顔をしていると、私たちはとても嬉しい気持ちになります。仕事を通して誰かの役に立っていると感じる時、ご利用者が本当にホッとした顔をして生活を送っている姿を見る時、お風呂に入って「気持ちいい」と笑顔で言われたりすると、それが一番のご褒美みたいなところがあります。


